太陽光を大勢に知ってもらおう!

国際競争力は労働コストをはじめとしてエネルギー支出以外のさまざまな要因に依存していることはいうまでもない。 日本企業に海外進出理由を聞いたアンケートでも、環境コストの安さは必ずしも主要な進出要因には挙げられていない。
このことも、わが国が率先して温暖化防止策を進めることが、どこまで国内産業の空洞化をもたらし、雇用に深刻な影響を及ぼすか断言はできないという根拠になる。 「総量主義で削減を義務付ける京都議定書は問題」という主張の検証に紙面を割いた。
この目的は、決して京都議定書の歴史的考証を行おうとするものではない。 ただ、「京都議定書は問題あり」という主張を論拠に、思いきった温暖化防止対策の制度的導入に抵抗を示す状況に一抹の不安を感じるということが動機になっている。

国レベルの議論が鯵着状態に陥ってしまうことによって、企業には方向性がハツキリするまで事態を静観しようという意思決定が生じる。 しかも、産業界が公式見解として、総量による目標設定や排出権取引制度に反対を表明している以上、一企業が「総量による目標設定」「排出クレジットの積極取得」「欧州排出権取引市場への参画」などを行うのは自粛すべきという雰囲気が形成されてしまう。
もっといえば、温暖化対策を戦略的にとらえるという視点が、いつまでも醸成されないことになる。 ここに落とし穴を感じるのである。
企業経営者がどこまで「温暖化防止対策」を経営の優先課題としてとらえているかを明らかにする既存調査は、あいにく収集することができない。 しかし、その手がかりとして2つの調査結果から、この意識を推し量ってみよう。
最初は、京都議定書が発効する目処さえ立っていなかった2000年2月に東京商工会議所が工業部の会員1309事業所から回答を得た調査である。 中長期的経営課題について重要と思われる項目(順に5つ)この調査は、「製造業の経営実態と環境への取組みに関するアンケート調査」と題されたもので、株価・株主重視、売上高や事業規模の拡大、雇用の維持・創出、地域社会への貢献、地球環境への配慮、グローバル化への対応、情報化への対応、後継者育成、技術の継承、新技術・新商品開発、生産性の向上の11の選択肢を用意し、「中長期的経営課題について重要と思われる順に5つ」を答えるという質問が用意された。
この設問に対する回答集計では、「地球環境への配慮」の位置付けは、「売上高や事業規模の拡大」「新技術・新商品開発」「生産性の向上」「情報化への対応」に比べて低いことがわかる。 一方、日本能率協会が毎年、実施している「当面する企業経営課題に関する調査」の結果がある。
この調査では19の経営課題を掲げて、重要度が高いと考える上位3つまでを回答してもらっている。 これを見ると経営課題として圧倒的に認識が高いのは「収益性向上」であり、これに「売上・シェア拡大」と「人材強化(採用・育成・多様化)」が続く。
この調査では「地球環境への配慮」という回答選択肢はないが、「企業の社会的責任(CSR)(コンブライアンス・環境などを含む)」をその代替として見れば、2005年と2006年のいずれもその順位は10位以下であり、将来の経営課題を尋ねた設問に関する回答集計では「グローバル化(グローバル経営)」(3位)、「株主価値向上」(5位)、「ブランド価値向上」(6位)といった従来、上位10位までに入らなかった項目が大きく順位を上げて上位にきているものの、「企業の社会的責任(CSR)(コンプライアンス・環境などを含む)」は大きく順位を上げているとはいえない。 こうした結果をどう解釈すべきかを考えてみたい。
「売上高や事業規模の拡大」や「収益性向上」という経営課題が最上位にきて、反対に「環境問題への対応」といった類の課題がそれには及ばないというのは、当然だという見方もできる。 企業は、環境問題に対応するために存在しているわけではなく、一方で「売上高や事業規模の拡大」や「収益性向上」は多くの企業にとって至上命題に等しい。

だが、「環境問題への対応」が「売上高や事業規模の拡大」や「収益性向上」に結びつくと考えるのであれは、多分に「環境問題への対応」の位置付けは変わってくるであろう。 ここに大きな分かれ道がある。
「地球温暖化対策が経済活動にブレーキをかける」と考えているならば、取組みは「企業が社会に支払うべきコスト」となり、可能なら支払わずにすませたい課題にとどまる。 しかし、どう目をそらしていても、将来も宿題を逃れることができないと覚悟して、見方を変えれば世界観は大きく変わる。
もちろん、産業界という単位では、世界のどこでも「地球温暖化対策」に消極的である傾向は否めない。 しかし、企業を個別に見ていくと、海外には「地球温暖化対策」は「売上高や事業規模の拡大」や「収益性向上」に結びつくと考えて、経営の舵を大きく切った企業を見つけることができる。
英国のBPは「脱石油」を掲げ「ビジネスとして意義のある、温室効果ガスの具体的な削減を達成するための強力な社外取引制度に参加する。 ETSのような制度は、最も効率のよい柔軟な方法であり、京都議定書に基づく義務を各国が達成するのに役立つものと確信している」と言明している。
米国のシティグループは「気候変動はグローバル経済への重大な脅威となっており、緊急の行動を必要としている。 その経済規模や排出規模からいって、米国の国家行動ならびにリーダーシップはグローバルレベルの処方菱に不可欠な要素である。
われわれは、直ちに米国が気候変動に関する国家政策を作成する必要があると確信する。 温室効果ガスを減らせないとしたら生じるであろう経済、社会、環境側面の損害を何としても回避しなければならない。
限られた時間内に行動ができなければ、米国経済とグローバル経済に致命的な結果をもたらすだろう。 われわれは、排出量を削減し、イノベーションと事業機会を創出し、透明」性と確実性をもたらす市場メカニズムに依拠した国家政策を支持する」と言明している。

こうした事例を見るにつけ、日本国内の企業との見方の違いを痛感せざるを得ない。 こうした温度差を生み出している理由は何だろうか。
1つには企業に対するNGOグループなどからの圧力の相違を挙げることができるだろう。 日本国内では「温暖化対策に不熱心だ」として、企業批判を受けたり、ボイコットにあうといった企業の事例はまずない。
しかし、海を越えれば、事情は大きく異なる。 例えば、シティグループは、ほぼ4年にわたって環境保護団体からキャンペーンを受け、2004年1月、世界の銀行のなかで最も進んだレベルの「環境イニシアチブ」を発表するという経験を有している。
さらに、もう1つヨーロッパの特徴としては、「予防原則」という考え方が広く普及しているという点が重要であろう。 これは、「深刻なまたは回復不可能な損害のおそれがある場合には、十分な科学的確実性が存在しないことを理由として、予防措置を延期すべきではない」ということを指している。
「環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。

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